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空き家じまい・管理

空き家特例(3,000万円控除)の要件とチェックシート|相続した実家を売るとき

更新日 2026年10月5日公的機関の資料をもとに作成

相続した実家を売って利益が出ると、譲渡所得税がかかります。条件を満たせば、利益から最大3,000万円を差し引ける「空き家特例」があります。使えるかどうか、売る前に確認しておきましょう。

空き家特例とは

空き家特例とは、亡くなった人が一人で住んでいた家(とその土地)を相続した人が売ったとき、売却益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引ける制度です。 正式には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といい、国税庁のタックスアンサーNo.3306で案内されています。

項目 内容
控除額 1人最大3,000万円。家と土地を相続した人が3人以上なら1人2,000万円(2024年1月1日以降の売却)
対象期間 2016年4月1日から2027年12月31日までの売却
手続き 家がある市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」をもらい、確定申告する

どれくらい税金が変わるか(計算例)

相続した実家を売ったときの税金は、次の式で計算します。

譲渡所得 = 売った金額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除

  • 取得費:亡くなった親が家や土地を買ったときの代金などを引き継ぎます。分からなければ、売った金額の5%を取得費にできます(国税庁 No.3258)
  • 所有期間:親が取得した時期も引き継ぎます(No.3270)。昭和56年以前の家なら、通常は5年超の「長期譲渡所得」になります
  • 長期譲渡所得の税率:所得税15%・住民税5%・復興特別所得税(所得税の2.1%)で、合計20.315%(No.3208)

以下は仕組みを説明するための仮の数字です。実際の税額は、取得費や譲渡費用の中身、端数処理などで変わります。

項目 金額
売った金額 2,000万円
取得費(不明のため5%) 100万円
譲渡費用(仲介手数料などと仮定) 80万円
譲渡所得(特例なし) 1,820万円
税金の目安(特例なし・20.315%) 約370万円
特例を使った場合 1,820万円 − 3,000万円 → 譲渡所得0円、税金0円

要件チェックシート

国税庁 No.3306 と国土交通省の資料をもとに、要件を並べました。すべて満たす必要があります。

1. 家の要件

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた家である
  • 区分所有建物の登記がされていない(一般的な分譲マンションは対象外)
  • 相続の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいなかった

2. 相続から売るまでの要件

  • 相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使っていない(誰かに貸したり、相続人が住んだりしていない)
  • 売却代金が1億円以下(家と土地を分けて売った場合や、ほかの相続人が売った分も合わせて判定)
  • 親子・夫婦など特別の関係がある人に売っていない

3. 売る時期の要件

  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
  • かつ、2027年12月31日までに売る

4. 耐震か解体の要件(どれか1つ)

パターン 内容
耐震基準を満たす家を売る 売る時までに耐震改修する(もともと耐震性があれば不要)。耐震基準適合証明書などが必要
解体してから土地を売る 家を全部取り壊してから、更地で売る
売った後に買主が工事する 売った年の翌年2月15日までに、耐震改修または解体する(2024年1月1日以降の売却)

5. ほかの特例との関係

  • 同じ親から相続した家・土地で、この特例をまだ使っていない
  • 相続財産の取得費加算の特例や収用の特別控除などを使っていない(取得費加算とはどちらか一方を選ぶ)

売却期限の早見表

期限は「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」と、制度の期限(2027年12月31日)の早い方です。

相続開始(亡くなった日) 3年を経過する日の年末 実際の期限(2026年9月時点)
2023年中 2026年12月31日 2026年12月31日
2024年中 2027年12月31日 2027年12月31日
2025年中 2028年12月31日 2027年12月31日(制度の期限が先)
2026年中 2029年12月31日 2027年12月31日(制度の期限が先)

2028年以降に制度が延長されるかは、2026年9月時点では決まっていません。延長されれば期限が変わるため、国税庁の最新情報を確認してください。

2023年中に相続が始まった人の期限(2026年12月31日)については、ニュース:2023年に亡くなった親の実家は2026年12月31日までに売却をで、年内にやることをまとめています。

親が老人ホームに入っていた場合

亡くなる直前に実家に住んでいなくても、次の要件を満たせば使えます(国税庁 No.3307)。

要件 内容
認定 要介護・要支援認定(または障害支援区分の認定)を受けていた
入所先 特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、認知症グループホームなど
入所後の家 家財の保管などに使われ続け、事業・貸付け・他の人の居住に使われていない
入所前 入所の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいなかった

国土交通省のQ&Aでは、一時的な滞在や家財道具の保管も「一定使用」に当たるとしています。一方で、親族の家や一般の賃貸住宅に移って亡くなった場合は使えません。

市区町村の「確認書」をもらう

特例を使うには、家がある(あった)市区町村から被相続人居住用家屋等確認書を交付してもらいます。国土交通省の資料では、主に次の書類が求められます。

確認すること 主な書類
親が相続の直前まで住んでいたこと 亡くなった人の住民票の除票の写し
ほかに住んでいた人がいないこと 相続人の住民票の写し(住所の経緯が分からなければ戸籍の附票)
家と土地を相続した人の数 登記事項証明書(相続登記が済んでいなければ遺産分割協議書など)
相続後、使われていなかったこと 電気・水道・ガスの使用中止日が分かる書類、または不動産会社の「現況空き家」の広告など
売った日 売買契約書のコピー
解体した場合 家の閉鎖事項証明書、更地の写真
買主が売った後に工事する場合 工事を取り決めた売買契約書の特約部分など
老人ホームに入っていた場合 介護保険の被保険者証のコピー、施設の入所契約書など

国土交通省は、介護保険の被保険者証のコピーや、電気・ガスの使用中止日が分かる書類などは、相続後や売った後には手に入りにくいものがあるため、早めに準備するよう案内しています。確定申告の時期(2月16日〜3月15日)が近づくと窓口が混むことも注意点に挙げられています。

確定申告で出す書類

売った年の翌年に、自分の住所地の税務署に確定申告します。国土交通省の資料によると、主に次の書類を添えます。

  1. 譲渡所得の内訳書(計算明細書)
  2. 家の登記事項証明書など(昭和56年5月31日以前の建築、区分所有でないことの確認)
  3. 売買契約書のコピーなど(1億円以下の確認)
  4. 被相続人居住用家屋等確認書
  5. 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書のコピー(家を耐震改修して売った場合)

売る前にやっておくこと

  • 家の建築年を登記事項証明書で確認する
  • 相続登記を済ませる(2024年4月から義務。→相続登記の義務化)
  • 誰が家と土地を相続するかを決める(3人以上だと控除は1人2,000万円)
  • 売るまで誰も住まない・貸さない
  • 電気・水道・ガスの解約の記録を残す
  • 親が買ったときの売買契約書・領収書を探す(取得費のため)
  • 買主が解体する形にするなら、売買契約書の特約に入れてもらう
  • 解体するなら、市区町村の解体補助金も確認する(→市区町村別データ)

相談先

  • 市区町村の空き家・住宅担当課(確認書の交付)
  • 税務署(特例が使えるか、確定申告の方法)
  • 税理士(取得費加算の特例との比較など、金額が大きい場合)

よくある質問

空き家特例はいつまで使えますか?

2027年12月31日までの売却が対象です。あわせて、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があり、両方を満たさなければなりません。2028年以降の延長は、2026年9月時点では決まっていません。

マンションの実家でも使えますか?

区分所有建物として登記されている建物は対象外のため、一般的な分譲マンションは使えません。また、建物が昭和56年5月31日以前に建てられたものであることも要件です。

親が老人ホームで亡くなった場合でも使えますか?

要介護・要支援認定などを受けて老人ホーム等に入所していた場合は、一定の要件を満たせば使えます。入所後も家財の保管などに使われ、貸したり他の人が住んだりしていないことが必要です。親族の家や一般の賃貸住宅に移って亡くなった場合は使えません。

解体は売る前にしないといけませんか?

2024年1月1日以降の売却では、売った年の翌年2月15日までに買主が耐震改修や解体をしても対象になります。ただし買主の協力が欠かせないため、国土交通省は売買契約書の特約などで取り決めておくことを確認事項にしています。

相続税を払った場合の「取得費加算の特例」と一緒に使えますか?

併用はできず、どちらか一方を選びます(国土交通省「他の税制との適用関係」)。どちらが有利かは金額によるため、税務署や税理士に確認してください。

出典

2026年10月5日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。