何の期限か
相続した実家を売って利益が出たとき、条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける「空き家特例」(被相続人の居住用財産を売ったときの特例)があります。国税庁のタックスアンサーNo.3306では、要件の一つとして次のように定めています。
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- あわせて、制度の対象期間(2016年4月1日から2027年12月31日まで)の売却であること
つまり、2023年(令和5年)中に相続が始まった(親が亡くなった)場合、3年を経過する日は2026年中にあり、売却の期限は2026年12月31日です。今年の年末がちょうど最初の「3年の期限」を迎える世代にあたります。
| 亡くなった日(相続開始) | 売却の期限 | 2026年10月5日時点の残り |
|---|---|---|
| 2023年1月1日〜12月31日 | 2026年12月31日 | 約3か月 |
| 2024年中 | 2027年12月31日 | 約1年3か月 |
| 2025年・2026年中 | 2027年12月31日(制度の期限が先) | 約1年3か月 |
2028年以降に制度が延長されるかは、2026年10月時点では決まっていません。例年12月中旬に公表される与党の税制改正大綱で扱われるかどうかが、次の注目点です。
「売った日」はいつになるか
国税庁の確定申告書等作成コーナーの案内では、譲渡所得は原則として資産の引渡しがあった日の年の所得として申告し、例外として売買契約などの効力発生の日の年で申告することもできる、とされています。「引渡しがあった日」は、原則として代金の決済が終わった日より後にはならないとも説明されています。
空き家特例の「12月31日までに売る」の判定に、この考え方がどう当てはまるか(たとえば12月に契約して1月に引き渡す場合)は、個別の事情で変わる可能性があります。年末ぎりぎりの契約になりそうなら、契約前に税務署に確認してください。安全なのは、引渡しと決済まで年内に終える日程です。
年内に売るまでに必要なこと
空き家特例には売却期限のほかにも要件があります。主なものを、期限が迫っている人向けに並べました(詳しくは要件チェックシート)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 家 | 昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた、区分所有登記でない家。相続の直前に亡くなった人以外が住んでいなかった |
| 相続後の使い方 | 相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使っていない |
| 耐震か解体 | 耐震基準を満たす家を売る/解体して土地を売る/売った年の翌年2月15日までに耐震改修か解体をする(2024年1月1日以降の売却) |
| 売却代金 | 1億円以下 |
| 売る相手 | 親子・夫婦など特別の関係がある人ではない |
| 控除額 | 1人最大3,000万円。家と土地を相続した人が3人以上なら1人2,000万円 |
読者がやること(年内)
- 亡くなった日を確認し、期限が2026年12月31日かどうかを確かめる
- 家の建築年を登記事項証明書で確認する(昭和56年5月31日以前か)
- 相続登記が済んでいるか確認する(→相続登記の義務化)
- 不動産会社に、年内に引渡し・決済まで終える日程で売れるか相談する
- 解体するか、買主が解体・耐震改修するかを決める(解体なら市区町村の解体補助金も確認。交付決定前の着工は対象外のことが多い)
- 電気・水道・ガスの使用中止日が分かる書類を手元に残す(市区町村の確認書に使う)
売った後:確認書と確定申告
特例を使うには、家があった市区町村から被相続人居住用家屋等確認書の交付を受け、売った年の翌年に確定申告をします。2026年中に売った場合は、2027年の確定申告(原則2月16日〜3月15日)です。確認書の申請書の様式は国土交通省のページに掲載されています。
国土交通省は、介護保険の被保険者証のコピーや電気・ガスの使用中止日が分かる書類など、相続後や売却後には手に入りにくい書類があるため、早めの準備を呼びかけています。確定申告の時期が近づくと市区町村の窓口も混みます。
相談先
| 内容 | 窓口 |
|---|---|
| 特例が使えるか、「売った日」の判定、確定申告 | 住所地の税務署(電話相談センター) |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 家があった市区町村の空き家・住宅担当課 |
| 相続登記 | 家の所在地を管轄する法務局 |
| 金額が大きい・取得費加算の特例と比べたい | 税理士 |
要件を満たすかどうかは個別の事情によります。最終的な判断は税務署に確認してください。
よくある質問
2023年に亡くなった親の家を2027年1月に売ったら、空き家特例は使えませんか?
空き家特例は「相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売ることが要件で、2023年中の相続ならその日は2026年12月31日です。2027年1月以降の売却は要件を満たしません。年末に契約して年明けに引き渡す場合の扱いは、事前に税務署に確認してください。
2024年に亡くなった場合の期限はいつですか?
3年を経過する日の属する年の12月31日は2027年12月31日で、制度の期限(2027年12月31日)と同じです。2025年以降の相続でも、制度が延長されなければ2027年12月31日が期限になります。
あわせて読みたい
出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問「譲渡所得の申告時期」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」
2026年10月5日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。