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売却・買取

相続した実家が売りにくいとき|共有名義・再建築不可・借地・事故物件の手放し方

更新日 2026年10月6日公的機関の資料をもとに作成

相続した実家には、ふつうの家にはない事情がついていることがあります。売りにくい理由は、法律や契約で決まっていることが多いので、まず「何が売りにくさの原因か」を書類で確かめるところから始めましょう。

相続した実家が売りにくい理由は、大きく4つに分けられます。どれに当たるかで、相談先も選べる方法も変わります。

状況 売りにくい理由 まず確かめる書類 詳しい記事
兄弟などの共有名義 家全体を売るには共有者全員の同意が必要 登記事項証明書(共有者と持分) 共有名義の実家を手放す方法
再建築不可 今の建物を壊すと、原則として新しく家を建てられない 自治体の建築指導担当で道路の種類と接道を確認 再建築不可の実家を手放す方法
借地の上の実家 借地権が土地の賃借権なら、建物を売るには地主の承諾(または裁判所の許可)が必要 土地の賃貸借契約書、地代の領収書 借地の上に建つ実家の売り方
家の中で人が亡くなった 亡くなり方によっては買主に告げる必要がある 亡くなったときの状況(特殊清掃の有無など) 実家で家族が亡くなっていたとき

1. 兄弟の共有名義になった実家

相続で実家を兄弟の共有にすると、家全体を売る・建て替えるといった変更には、共有者全員の同意が必要です(民法第251条)。一人でも反対すると、家全体は売れません。

一方で、話し合いがまとまらないときに使える手段も法律で決まっています。

  • 自分の持分だけを売る
  • 共有物の分割を裁判所に求める(民法第258条)
  • 連絡がつかない・所在が分からない共有者がいるときに、裁判所の手続きでその持分を取得する、または第三者に譲渡する(民法第262条の2・第262条の3)

まだ遺産分割をしていない場合は、共有物の分割ではなく遺産分割の手続きが基本になるなど、相続ならではの注意点もあります。詳しくは兄弟の共有名義になった実家を手放す方法にまとめています。

2. 再建築不可の実家

建築基準法では、建物の敷地は道路に2メートル以上接していなければならないと決まっています(第43条第1項)。古い住宅地では、この条件を満たさない敷地があり、今の建物を壊すと原則として新しく建てられない「再建築不可」になります。

ただし、次のような場合もあるため、「再建築不可」と言われても、まず自治体で確かめる価値があります。

  • 敷地の前の道が、建築基準法上の「道路」に当たるかどうかで結論が変わる
  • 道路に接していなくても、一定の基準を満たして特定行政庁の認定や許可を受ければ建てられる場合がある(第43条第2項)
  • 隣の土地の一部を買い足すことで、接道の条件を満たせる場合がある

確認先は、実家のある市区町村(または都道府県)の建築指導の担当課です。調べ方や、2025年4月からのリフォームの注意は再建築不可の実家を手放す方法にまとめています。

3. 借地の上の実家

土地は地主のもので、建物だけが親の名義という実家もあります。この場合、建物を売ると土地を借りる権利(借地権)も一緒に移ります。借地権が土地の賃借権であれば、譲り渡すには地主の承諾が必要です(民法第612条)。借地権には地上権の場合もあるので、契約書で確かめてください。

地主が承諾しない場合でも、買主が借地権を引き継いでも地主に不利になるおそれがないときは、裁判所が地主の承諾に代わる許可を出せる仕組みがあります(借地借家法第19条)。許可の条件として、借地条件の変更や、地主への金銭の支払いが命じられることがあります。

借地権の評価の目安として、国税庁の路線価図には借地権割合(A=90%からG=30%まで)が載っています。ただし、これは相続税・贈与税の計算に使う数字で、実際に売れる金額とは別のものです。手続きの流れや名義変更料・税金は借地の上に建つ実家の売り方にまとめています。

4. 家の中で人が亡くなった実家

国土交通省は2021年10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を出しました。不動産会社が買主・借主に何を告げるべきかの目安が示されています。

  • 老衰や病気による自然死、自宅の階段からの転落・入浴中の事故・食事中の誤嚥などの日常生活の中での不慮の死は、売買でも賃貸でも、原則として告げなくてもよい
  • ただし、長く発見されずに特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、告げる対象になる
  • 賃貸では、告げる対象になる死でも、発生(または発覚)からおおむね3年たてば原則として告げなくてもよい。売買には、この3年の目安はない
  • 亡くなり方や経過した期間にかかわらず、買主・借主から聞かれた場合や、社会的な影響が大きい場合は告げる必要がある

売るときに伝えるべきか迷う場合は、隠さずに不動産会社へ事実を伝えて相談してください。告げる内容や売主の責任は実家で家族が亡くなっていたときにまとめています。

売り方の選び方

どの状況でも、手放し方は次の3つの組み合わせになります。

方法 向いている場合 注意点
仲介(不動産会社が買主を探す) 時間がかかってもよく、事情を解消できる見込みがある 買主が住宅ローンを使いにくい物件は、売れるまで時間がかかりやすい
買取(不動産会社が自ら買う) 早く手放したい、事情を解消するのが難しい 価格は仲介より低くなるのが一般的。複数社の査定を比べる
相手の事情を生かして売る 共有者・隣地の所有者・地主など、その物件を買う理由がある人がいる 交渉がこじれる前に、条件を書面で確認する

業者に頼むときは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、宅地建物取引業の免許番号が有効か確認できます。

法律の判断が必要な場面(共有者との交渉、裁判所の手続き、相続放棄との関係など)では、弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。この記事は一般的な仕組みの説明で、個別の事情に当てはまるかを保証するものではありません。

よくある質問

訳あり物件でも、ふつうの不動産会社に売却を頼めますか?

頼むことはできます。ただし、共有者の同意がない、建て替えができない、地主の承諾が必要といった事情があると、一般の買い手は住宅ローンを使いにくかったり、買ったあとの使い道が限られたりするため、仲介では時間がかかることがあります。仲介で売り出すか、事情のある物件を扱う買取業者に売るかは、査定を比べて決めるのが一般的です。

家で家族が病気で亡くなりました。売るときに伝える必要はありますか?

国土交通省のガイドラインでは、老衰や病気による自然死、自宅での転倒・誤嚥などの日常生活の中での不慮の死は、原則として不動産会社が買主に告げなくてもよいとされています。ただし、長く発見されずに特殊清掃などが行われた場合は扱いが変わります。また、買主から聞かれた場合は告げる必要があります。

路線価図の借地権割合は、借地権の売値の目安になりますか?

路線価と借地権割合は、国税庁が相続税・贈与税の計算のために定めているものです。実際に売れる金額とは別のもので、地主の承諾の有無や契約の内容によって売値は大きく変わります。目安として使う場合も、不動産会社の査定と合わせて確認してください。

出典

2026年10月6日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。