ステップ0:親が元気なうちにやること
実家じまいで一番楽なのは、親と話せるうちに準備することです。
- 親が家をどうしたいか(住み続ける・施設に入ったら売る、など)を聞いておく
- 家の名義を確認する(登記簿で、親の単独名義か、祖父母名義のままになっていないか)
- 権利証(登記識別情報)、固定資産税の納税通知書、通帳、保険証券、鍵の置き場所を共有する
- 住所が変わっているのに登記が古い住所のままなら、変更登記を検討する(2026年4月から義務化)
祖父母名義のままの家に注意:2024年4月より前に相続した不動産も、相続登記の義務の対象です。原則として2027年3月31日までに登記が必要です。
ステップ1:相続が始まったら(すぐ)
- 死亡届などの手続きと並行して、相続人が誰かを確認する
- 亡くなった人名義の不動産を洗い出す。分からなければ法務局で所有不動産記録証明書を請求する(2026年2月2日開始、書面請求で1,600円)
- 固定資産税の納税通知書から、土地・建物の評価額を確認する(登記や税金の計算に使う)
- 家財を勝手に処分しない。相続放棄を考えている場合、財産を処分すると放棄できなくなることがあります
ステップ2:3か月以内|相続するかどうかを決める
- 借金などを含めて財産の全体を確認する
- 相続しない場合は、相続放棄を家庭裁判所に申し立てる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内(延長の申立てができる) |
| 申立先 | 亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円(1人につき)と郵便切手 |
| 注意 | 実家だけを放棄することはできない。預貯金などすべての財産を相続しないことになる |
ステップ3:3年以内|名義を移す(相続登記)
- 誰が実家を相続するか、相続人で話し合う(遺産分割)
- 法務局で相続登記を申請する。自分でやるか、司法書士に頼むかを決める
- 登録免許税を用意する(固定資産税評価額の1000分の4。価額100万円以下の土地は2027年3月31日まで非課税)
→ 税額は相続登記の登録免許税 計算ツールで計算できます。
話し合いがまとまらないとき:法務局に「自分が相続人です」と申し出る相続人申告登記をすれば、期限内の申請義務を果たしたことになります。ただし、その後に遺産分割で実家を取得したら、分割の日から3年以内に相続登記が必要です。
ステップ4:家財を片付ける
- 残す物(写真、重要書類、形見)と処分する物を分ける
- 通帳や契約書類など、手続きに必要な書類を先に探しておく
- 自治体の粗大ごみ回収、リサイクル、買取、片付け業者のどれを使うか決める
- 業者に頼む場合は、市区町村の一般廃棄物処理業の許可(または委託)を持っているかを確認し、複数社から見積もりを取る
「無料回収」「トラック積み放題」をうたって、作業後に高額を請求するトラブルが報告されています。家庭の不用品は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可だけでは回収できません(環境省)。
ステップ5:家の行き先を決める
売る場合
- 不動産会社に査定を依頼する(複数社)
- 空き家の3,000万円特別控除が使えるか確認する
| 主な要件(国税庁 No.3306) | 内容 |
|---|---|
| 建物 | 昭和56年5月31日以前に建築、区分所有建物でない |
| 住んでいた人 | 相続開始の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいない |
| 売却時期 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(制度は2027年12月31日までの売却が対象) |
| 売却代金 | 1億円以下 |
| 耐震・解体 | 耐震基準を満たすか取り壊す。2024年以降は、買主が翌年2月15日までに行ってもよい |
| 控除額 | 1人最大3,000万円。家と土地を相続した人が3人以上なら1人2,000万円 |
解体する場合
- 市区町村の解体補助金があるか、受付期間内かを確認する → 市区町村別データ
- 補助金を使うなら、業者と契約する前に市区町村に相談し、空き家の判定を受ける
- 交付決定を受けてから契約・着工する
- 解体後の土地の固定資産税(住宅用地特例が外れる)も試算しておく
残す場合
- 換気・清掃・草刈りなどの管理の段取りを決める(遠方なら管理サービスも選択肢)
- 管理が不十分だと、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として指導・勧告を受けることがある。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れる
国に引き取ってもらう場合(土地のみ)
- 相続土地国庫帰属制度の対象か確認する。建物がある土地は申請できないため、先に解体が必要
- 審査手数料は1筆14,000円、承認されたら負担金(原則20万円)を納める
ステップ6:お墓・仏壇
- お墓を引き継ぐか、墓じまい(改葬)するかを親族で話し合う
- 仏壇の引き取り・処分の方法を決める
お墓と仏壇の手続きは、別の記事で詳しくまとめる予定です。
よくある質問
実家の片付けと相続登記は、どちらが先ですか?
決まった順番はありませんが、相続登記には3年の期限があり、売却や解体補助金の申請では名義や相続人全員の同意が求められることが多いため、早めに進めておくと後の手続きがスムーズです。相続放棄を考えている場合は、家財を処分する前に家庭裁判所や専門家に相談してください。
親名義の不動産がどこにあるか分かりません。
2026年2月2日から、法務局で「所有不動産記録証明書」を請求できるようになりました。亡くなった人が登記名義人になっている不動産を一覧で証明してもらえ、相続人も請求できます。手数料は書面での請求で1,600円です。
解体してから補助金を申請できますか?
ほとんどの市区町村でできません。事前の判定と交付決定を受けてから、業者と契約・着工する流れです。先に着工すると補助の対象外になります。
あわせて読みたい
出典
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 法務省「所有不動産記録証明制度について」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」
- 環境省「廃棄物の回収に関するQ&A」
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブルに注意」
2026年9月28日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。