売る前に確認すること
相続放棄を考えているなら、売らないでください。 相続財産を売るなどして処分すると、相続を承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(民法第921条)。詳しくは相続放棄の手続きと期限を参照してください。
相続人が複数いる場合は、誰が何を受け取るか、売ったお金をどう分けるかも、先に話し合っておきましょう。
出張買取(訪問購入)のルール
自宅に来てもらって品物を買い取ってもらう方法は、特定商取引法の「訪問購入」に当たり、次のルールがあります。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 名乗る義務 | 勧誘の前に、事業者名・勧誘が目的であること・買い取る品物の種類を伝えなければならない |
| 飛び込み勧誘の禁止 | 頼んでいないのに訪問して勧誘してはいけない。査定だけを頼まれたのに、それ以外の品物の売却を勧めることも禁止 |
| 書面の交付 | 品物の種類・価格・支払いと引き渡しの時期・クーリング・オフなどを書いた書面を渡す |
| クーリング・オフ | 書面を受け取った日から数えて8日以内なら、契約を解除できる。違約金はかからない |
| 引き渡しを拒める | クーリング・オフの期間中は、引き渡しの日が決まっていても品物を渡さなくてよい |
クーリング・オフの対象外の品物
特定商取引法施行令第34条で、次の品物は訪問購入のルールの対象外です。
- 自動車
- 家電(持ち運びが容易なものを除く)
- 家具
- 書籍
- 有価証券
- レコード、CD・DVD、ゲームソフトなど
増えている訪問購入のトラブル
国民生活センターに寄せられた訪問購入の相談は、2023年度が8,623件、2024年度が7,909件、2025年度が7,523件でした。2023年の報告では、契約した人の約8割が60歳以上でした。
よくある事例です。
- 不用な食器の買取を頼んだのに、貴金属まで強引に買い取られた
- 指輪やネックレスを持ち去られた
国民生活センターの助言は次のとおりです。
- 電話で安易に訪問を承諾しない
- 突然来た業者は家に入れない
- 一人で対応しない
- 事業者名と、買い取ってもらう物を事前に確認する
- 売るつもりのない貴金属などは、きっぱり断る
- 渡された書面を確認する
困ったときは、消費者ホットライン188に相談できます。犯罪の疑いがあるときは警察相談専用電話 #9110も使えます。
買取業者の許可を確認する
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 古物商の許可 | 中古品を買い取る業者は、都道府県公安委員会の許可が必要(古物営業法第3条)。無許可営業は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 許可番号の表示 | 営業所に標識を掲げ、ホームページで許可番号などを公表する義務がある(一部例外あり) |
| 出張のとき | 許可証や行商従業者証を持ち歩き、求められたら見せなければならない |
東京都のように、公安委員会が許可番号とホームページの届出を一覧で公開している例もあります。全国をまとめて検索できる公的な仕組みは、当サイトの調査では見つかりませんでした。
売ったときの税金
| 売った物 | 税金 |
|---|---|
| 生活に使っていた家具・衣服・食器など | 原則として非課税 |
| 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨董など | 譲渡所得として課税の対象 |
根拠は所得税法第9条と同施行令第25条、国税庁タックスアンサーNo.3105です。価額の判定や申告が必要かどうかは事情によって変わるので、高額な品物を売るときは税務署に確認してください。
買取と片付けを分けて考える
売れる物は買取業者、残りは片付け業者、と分けると費用を抑えられることがあります。片付け業者の選び方は実家の片付け・遺品整理業者の選び方にまとめています。
よくある質問
出張買取で売った後でも、取り消せますか?
出張買取(訪問購入)は、書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフで契約を解除できます。この期間中は、品物の引き渡しを拒むこともできます。ただし自動車、据え置き型の家電、家具、書籍、有価証券、CD・DVDなどは対象外です。
骨董品を売ったら税金はかかりますか?
生活に使っていた家財を売った所得は原則として非課税です。ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨董などを売った所得は課税の対象になります。具体的な計算や申告の要否は税務署に確認してください。
相続放棄をするつもりですが、実家の物を売ってもいいですか?
相続財産を処分すると、相続を承認したものとみなされます(民法第921条)。売却は処分に当たるため、相続放棄を考えている場合は、売る前に家庭裁判所や専門家に相談してください。
あわせて読みたい
出典
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問購入
- 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索)
- 特定商取引に関する法律施行令(e-Gov法令検索)第34条
- 国民生活センター「各種相談の件数や傾向:訪問購入」
- 国民生活センター「不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!」(2023年9月27日)
- 国民生活センター「きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブル」(2024年9月18日)
- 古物営業法(e-Gov法令検索)
- 東京都公安委員会「古物商URL届出一覧」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3105「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
- 民法(e-Gov法令検索)第915条・第921条
2026年9月29日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。