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実家じまいの基本

実家じまいでやってはいけない失敗10個|法律・税金・補助金で取り返しがつかないもの

更新日 2026年10月6日公的機関の資料をもとに作成

実家じまいの失敗には「気持ちの面で後悔する」ものと、「ルールを知らずに損をして、後から取り返せない」ものがあります。ここでは後者に絞って、法律・税金・補助金の決まりで確認できる10個の失敗と、その防ぎ方をまとめました。

10個の失敗の一覧

# やってはいけないこと 何が起きるか 取り返せるか
1 相続放棄を決める前に家財や家を処分する 単純承認とみなされ、相続放棄できなくなることがある 難しい
2 相続放棄の期限(3か月)を知らずに過ごす 期限を過ぎると単純承認とみなされる 原則できない
3 見つけた遺言書をその場で開ける・捨てる 検認の手続きが必要。捨てれば争いの原因に 難しい
4 補助金の交付決定前に解体・片付けを始める 補助の対象外になる できない
5 売る前に実家を人に貸す・誰かが住む 空き家の3,000万円特別控除が使えなくなる できない
6 空き家特例の期限を過ぎてから売る 控除が使えず、税金が数百万円増えることも できない
7 相続登記をしないまま放っておく 売却・解体補助の申請が進まない。過料の対象になりうる 時間とお金がかかる
8 許可のない回収業者に家財を任せる 高額請求・不法投棄のトラブル 難しい
9 管理しないまま空き家を放置する 勧告を受けると土地の固定資産税の軽減がなくなる 管理し直せば解除の余地
10 相続人の一部だけで進める 共有の家は全員の同意がないと売れない。補助金も同意書が必要なことが多い 話し合い次第

以下、順番に説明します。

1. 相続放棄を決める前に、家財や家を処分する

亡くなった親に借金があるかもしれないなら、相続放棄を検討することになります。ところが、民法第921条第1号では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認(すべてを受け継ぐ)をしたものとみなされます。

実家じまいでよくある「片付け業者に頼んで家財を捨てる」「形見分けをする」「家を売る・解体する」といった行為が、この「処分」に当たるかどうかは個別に判断されます。相続放棄の可能性があるうちは、家財・家・預金に手をつけないのが安全です。

雨漏りの応急処置など、財産の価値を守るための「保存行為」は除かれていますが、どこまでが保存行為かも個別の判断です。迷ったら、動く前に家庭裁判所や弁護士・司法書士に相談してください。→ 相続放棄の期限と手続き

2. 相続放棄の期限(3か月)を知らずに過ごす

相続放棄は、原則として自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し立てます(民法第915条)。期限内に放棄も限定承認もしなければ、単純承認したものとみなされます(第921条第2号)。

財産の調査に時間がかかる場合は、期限内に家庭裁判所へ期間の延長(伸長)を申し立てることができます。「葬儀や片付けで忙しくて、気づいたら3か月過ぎていた」がいちばん避けたい失敗です。

3. 見つけた遺言書を、その場で開ける・捨てる

実家の片付けで遺言書が見つかることがあります。裁判所は、遺言書の保管者や見つけた相続人は、亡くなったことを知った後に遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならない、と案内しています。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開封しなければなりません。

公正証書遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言(遺言書情報証明書)は、検認の必要はありません。

4. 補助金の交付決定前に、解体や片付けを始める

空き家の解体補助金や家財処分の補助は、ほとんどの市区町村で交付決定の前に契約・着工したものは対象外です。当サイトで公式ページを確認した1,164市区町村の解体補助金でも、この条件はほぼ共通でした。

さらに、多くの制度は年度の途中で予算に達して締め切られます。「業者を決めてから役所に聞こう」ではなく、役所に相談 → 申請 → 交付決定 → 業者と契約の順番を守りましょう。→ 空き家の解体補助金 一覧・実家じまいで使える補助金

5. 売る前に、実家を人に貸す・誰かが住む

相続した実家を売ったときに譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける「空き家の3,000万円特別控除」は、相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使っていないことが要件の一つです。

「売れるまでの間だけ知人に貸す」「きょうだいがしばらく住む」と、要件から外れてしまいます。売るつもりがあるなら、貸す・住む前に要件を確認してください。→ 空き家特例の要件とチェックシート

6. 空き家特例の期限を過ぎてから売る

空き家の3,000万円特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。制度そのものの期限(2027年12月31日までの売却)もあり、早い方が期限です。

たとえば2023年中に亡くなった場合は、2026年12月31日が売却の期限です。売るか迷っているうちに期限を過ぎると、控除が使えなくなります。

7. 相続登記をしないまま放っておく

2024年4月1日から相続登記は義務になり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。2024年4月より前の相続も対象で、原則として2027年3月31日が期限です。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になりえます。

名義が亡くなった親のままだと、売却の手続きが進まないうえ、解体補助金の申請でも所有者・相続人であることの証明や相続人全員の同意を求められることが多くなります。→ 相続登記の義務化

8. 許可のない回収業者に家財を任せる

家庭から出る不用品を回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可、または市区町村からの委託が必要です。環境省は、許可のない回収業者を利用しないよう呼びかけています。

国民生活センターには、広告では7,000円だった不用品回収が作業後に25万円を請求された、といった相談が寄せられています。見積もりは複数社から取り、追加料金の条件を書面で確認しましょう。→ 片付け・遺品整理業者の選び方

9. 管理しないまま空き家を放置する

2023年の空家法の改正で、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」も、市区町村の指導・勧告の対象になりました。勧告を受けると、その土地は固定資産税の住宅用地特例(1/6・1/3に軽減)から外れます。

すぐに売る・解体すると決められない場合も、定期的に換気・草刈り・郵便物の確認をする人を決めておきましょう。→ 空き家の固定資産税と管理

10. 相続人の一部だけで進める

実家が相続人の共有になっている場合、売却には共有者全員の同意が必要です。解体補助金でも、共有名義なら全員の同意書を求める市区町村が多くあります。

「長男が全部決めて進めたら、あとから他のきょうだいに反対された」という状態になると、手続きが止まります。費用の負担、売ったお金の分け方、片付けの担当を、先に話し合って書面に残しておくと安心です。

失敗しないための順番

  1. 遺言書の有無を確認する(見つけても開けない)
  2. 財産と借金を調べ、相続放棄するかを3か月以内に決める
  3. 相続人で話し合い、相続登記をする
  4. 家の行き先(売る・貸す・解体する・残す)を決める。売るなら空き家特例の期限を確認
  5. 補助金を使うなら、業者と契約する前に申請する
  6. 許可のある業者に片付け・解体を頼む

全体の流れは実家じまいの手順に時系列でまとめています。

よくある質問

実家じまいで一番やってはいけないことは何ですか?

取り返しがつかないという意味では、相続放棄をするかもしれないのに家財や家を処分してしまうことです。民法第921条で、相続財産を処分すると単純承認したものとみなされ、借金も含めて相続することになる場合があります。

親が亡くなってすぐに実家を片付けてもいいですか?

相続放棄の可能性がないと分かっているなら問題ありませんが、借金があるかもしれない場合は、財産の調査が終わるまで処分を控えるのが安全です。また、遺言書が見つかったら、勝手に開けずに家庭裁判所の検認を受けてください(公正証書遺言と法務局で保管された遺言を除く)。

解体してから補助金を申請できますか?

ほとんどの市区町村で、交付決定の前に契約・着工した工事は補助の対象外です。解体業者と契約する前に、市区町村の窓口に申請してください。

出典

2026年10月6日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。