実家じまいの基本

実家じまいとは?やること・期限・費用の全体像を公的情報で整理

更新日 2026年9月28日公的機関の資料をもとに作成

実家じまいは「家を片付けること」だけではありません。名義の変更、空き家の管理、売る・解体するの判断、お墓まで、期限のある手続きがいくつも重なります。まずは全体像をつかむためのページです。

実家じまいとは

実家じまいとは、親が住んでいた家について、中の物を片付け、名義を整え、家そのものの行き先(売る・貸す・解体する・残す)を決めることです。 お墓や仏壇の引き継ぎまで含めて考える人も多くいます。

「家を片付ける」というイメージが強い言葉ですが、実際には次のような手続きと判断がまとめてやってきます。

  • 家財の片付け・処分
  • 名義の変更(相続登記)
  • 空き家の管理と税金
  • 売却・賃貸・解体の判断と、補助金や税の特例の申請
  • お墓・仏壇の引き継ぎ

なぜ今、実家じまいが課題になっているのか

空き家は900万戸を超えた

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は900万2千戸で過去最多、空き家率は13.8%で過去最高でした。このうち、賃貸・売却用や別荘などを除いた「使い道が決まっていない空き家」は385万6千戸で、5年前より36万9千戸増えています。

期限のある手続きが増えた

ここ数年の法改正で、相続した家を「とりあえずそのままにしておく」ことが難しくなりました。

制度 始まった時期 内容
相続登記の義務化 2024年4月1日 不動産の相続を知った日から3年以内に登記。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象
空家法の改正 2023年12月13日 「管理不全空家」を新設。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れる
所有不動産記録証明制度 2026年2月2日 亡くなった人名義の不動産を一覧で証明してもらえる
住所・氏名変更登記の義務化 2026年4月1日 変更から2年以内に登記。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象

2024年4月より前に相続した不動産も義務の対象で、原則として2027年3月31日までに相続登記が必要です。

実家じまいの全体の流れ

大きく分けると、次の順に進みます。詳しいやり方は実家じまいの手順にまとめています。

  1. 親が元気なうちに話し合う:家をどうしたいか、書類や鍵、通帳の場所、名義を確認する
  2. 相続が始まったら、相続するかを決める:相続放棄の期限は3か月
  3. 名義を相続人に移す:相続登記は3年以内
  4. 家財を片付ける:必要な物を分け、残りを処分する
  5. 家の行き先を決める:売る・貸す・解体する・残す
  6. お墓・仏壇を引き継ぐか、しまうかを決める

家の行き先の選択肢

選択肢 向いている場合 使える制度・注意点
売る 買い手が見込める立地 条件を満たせば、売却益から最大3,000万円を控除できる特例(2027年12月31日までの売却)
貸す 立地がよく、修繕すれば使える 修繕費と管理の手間がかかる
解体して土地にする 老朽化が進み、倒壊などの危険がある 多くの市区町村に解体補助金がある。解体後は土地の固定資産税が上がることがある
残して管理する 将来使う予定がある 定期的な換気・清掃・草刈りが必要。放置すると勧告の対象になりうる
国に引き取ってもらう 建物がない土地で、引き受け手がいない 相続土地国庫帰属制度。審査手数料1筆14,000円、負担金は原則20万円。建物がある土地は申請できない
相続放棄する 家を含めて財産を相続しない 3か月以内に家庭裁判所へ。実家だけを放棄することはできない

解体を考えている場合:解体補助金は、市区町村ごとに補助率も上限額も違います。当サイトでは各市区町村の公式ページを確認して一覧にしています。→ 空き家の解体補助金 市区町村別データ

期限のある手続きのまとめ

手続き 期限 窓口
相続放棄 自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内(家庭裁判所で延長の申立てができる) 亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所
相続登記 相続と不動産の取得を知った日から3年以内 不動産のある地域の法務局
住所・氏名変更登記 変更から2年以内 法務局
空き家の3,000万円控除 相続開始から3年目の年の12月31日までに売却(制度自体は2027年12月31日まで) 税務署
解体補助金 市区町村ごとの受付期間。年度途中で予算に達して終わることが多い 市区町村

よくある失敗

  • 無許可の不用品回収業者に頼む:家庭の不用品の回収には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可(または委託)が必要です。国民生活センターには、広告で7,000円だったのに作業後に25万円を請求された、といった相談が寄せられています。
  • 補助金の交付決定より先に解体工事を始める:ほとんどの市区町村で、交付決定前に着工した工事は補助の対象外です。
  • 空き家を放置して勧告を受ける:勧告を受けると、土地の固定資産税の住宅用地特例(小規模住宅用地なら課税標準が6分の1)が外れます。
  • 登記を後回しにする:相続人が亡くなって相続が重なると、関係者が増えて話し合いがまとまりにくくなります。

困ったときの相談先

相談したいこと 窓口
相続登記・所有不動産の確認 法務局(相談は予約制のところが多い)、司法書士
相続税・3,000万円控除 税務署、税理士
相続放棄 家庭裁判所、弁護士
空き家の管理・解体補助金 市区町村の空き家担当課
業者とのトラブル 消費生活センター(消費者ホットライン188)

よくある質問

実家じまいは、いつから始めればいいですか?

親が元気なうちに、家の名義や書類の場所、親の希望を話し合っておくのが理想です。相続が起きてからは、相続放棄の3か月、相続登記の3年など、期限のある手続きが続きます。

実家を相続しない方法はありますか?

家庭裁判所で相続放棄をする方法があります。期限は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内です。ただし実家だけを放棄することはできず、預貯金などほかの財産もすべて相続しないことになります。

実家を放置するとどうなりますか?

管理が不十分な空き家は、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として指導や勧告を受けることがあります。勧告を受けると、土地の固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が大きく増えることがあります。

出典

2026年9月28日時点の情報です。制度は変わることがあるため、手続きの前に各窓口で確認してください。調べ方は調査方法にまとめています。